「ガラスの仮面」の「海慶」の話

昨日「ガラスの仮面」の話を書いたら、この作品の中で一番好きな場面を思い出した。かなり引用が長くなるがのせたい(まさか今年最後の日記がガラカメになるとは思わなかった)
幻の名作「紅天女」を2組のメンバーで試演することになり、仏師役の桜小路優は、自分が感動した仏像を彫ったと言う仏師「海慶」を訪ねると「海慶」は意外にも市役所勤めの公務員だった。「海慶」はとまどう彼を見習い扱いとして数日寝泊りさせるが、以下は仏像を彫り始めたあとの休憩の場面。
優「毎日腕ならしをしながら木をみつづけてらっしゃいましたが、彫るときはいっきなんですね」
海慶「ええ、木のくずをはらって中にいる仏をとりだしてやればいいだけですから」
優「いつもそうなんですか」
海慶「ええ、彫ろうとする木の中にどんな仏がいるのか、どんな姿をしてどんな表情をしているのか、それがわかるまでじっとまつんです。そしてその姿がみえたら、それを心にやきつけて毎日木をみつづけるのです。そのうちに中の仏が出してくれと叫ぶようになる。彫りだしたくて彫りだしたくてたまらなくなってくる。もうがまんができないというところまできて、やっと彫るのです」
優「先生にとって仏像を彫るとはどういうことですか?」
海慶「仏がこの世にいるかどうか、わたしにはわかりません。ただ本当の仏は心の中にこそあり、多くの人々は仏像を通して自分の中の仏をみているのだと思っています。わたしはその手伝いをしているだけです」
優「(独白)海慶先生・・・」
海慶「はじめはふつうの人と同じ生活をしていて、これでいいのかと考えることもありましたが、今は毎日の生活の中にこそ人間として、また仏師としての修行があると思っています」
優「毎日の生活の中に修行が?」
中略
海慶「自分が苦しみ悩んでいる時に穏やかな顔の観音像は彫れません。自分の心を、やさしくおだやかにする以外にないのです」
中略
海慶「人間としての毎日の生活はそれは修行の連続ですよ。こんなに鍛えられる場はありません」
前半は音楽にも通じる話だと思う。後半はサラリーマン生活に入った私には励みになった。
それでは皆様、良いお年を!!