歩行者族の反乱(1928)

デイヴィッド・H・ケラー
昔、図書館で「世界SF全集」に収録されていたこの作品を、突然思い出した。近未来人類は、自動車を所有する「自動車族」とそれ以外の「歩行者族」に二極化し、貧富も権力も極端に拡がり「自動車族」は「歩行者族」をひき殺しても何の罪にも問われない等と言うかなりエグイ設定の作品。「自動車族」は車のシートそのままの椅子に固定化され下半身が退化して、その椅子ごと全ての移動を行うってのもすごい。車の歴史は詳しくないが1928年と言えば、アル・カポネの頃だから「アンタッチャブル」等のギャング映画に出てくる、いわゆるクラシックカーの時代である。その頃に、こんな発想までしてしまうのはなんか凄い。「華麗なる幻想」というSFアンソロジー(講談社文庫)にも収録されていたらしいが、1977年の発行なので、今はたぶん入手は難しいだろう。また図書館でもいくか。