CTIベスト・オブ・ジム・ホール(1975〜1982)

ジム・ホール
以前にちょっと書いたが、ジャズ喫茶でアルバイトしていた頃、この人の「アランフェス協奏曲」を知った。今回、このCDを買おうかとも思ったが、「アランフェス協奏曲」と「ユー・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」が入っているので、こちらを買ってみた。
CTIレーベルといえば、コアなジャズファンからは、イージーリスニングジャズだと白眼視されがちだったが、先入観無しに聴けば、確かにキャッチャーな面はあるが、名手が味わい深い演奏を繰り広げており、けして素通りできるものではない。「アランフェス協奏曲」は、ロドリゴの同名曲の第2楽章をイントロとエンディングにバラードタッチで配し、中間部はミディアムテンポで、参加メンバーのソロがつむがれる。このソロ部分の演奏とバッキングの展開のアレンジが絶妙で、20分近い曲が、全然その長さを感じさせず、あっという間に終わってしまい、この倍ぐらいは長くてもいいんじゃないかと思わせるほどだ。中間部の始まりは、ロン・カーターのベースで始まるが、トニックとドミナントの音しか使ってないのに、なんという深いフレーズだろう、当時はずいぶん影響を受けたものだ。ちなみに、この曲のメンバーは、
ジム・ホール(g)
ローランド・ハナ(p)
ロン・カーター(b)
スティーブ・ガット(ds)
チェット・ベイカー(tp)
ポール・デズモント(as)
といった、名手ぞろい。ちなみに、1975年といえば、フリージャズは崩壊し、ファラオ達はスピリチュアル系へ、マイルス・デイビスはエレクトリック・ファンクジャズ、ウェザーやRTF等ロック系のフュージョンが既に確固たる地位を既に築いていた時代である。その時代に、これぞジャズといった感じのCTIレーベル作品が売れに売れたというのも、分かる気がする。ジャズは聞いてみたいが、さて何から?といった人には、最適の入門盤かもしれない。