隆慶一郎

久々に隆慶一郎氏の「捨て童子・松平忠輝」を読み返す。すると「影武者徳川家康」も読み返したくなる。この2作の忠輝像は、ほとんど同一人物で(あたりまえか)そういえば高橋英樹のドラマ版「影武者徳川家康」は、かなり「捨て童子・松平忠輝」からもエピソードを拾っていた節がある。「影武者徳川家康」といえば、原哲夫氏がマンガ化している。このコンビの「花の慶次」は、伝奇小説をマンガ化したものとして、既に金字塔の地位を築いているが、そのあとを受けて「影武者徳川家康」はスタートした。しかし、「花の慶次」ほどの人気は得られなかったのか、途中で中断、のちに、はでな対決シーンが中心の「SAKON」として蘇ることになる。たしかに「影武者徳川家康」は「花の慶次」よりは地味だったかもしれないが、なんとか「影武者徳川家康」の路線のままで完結させて欲しかったというのが正直なところ(「SAKON」は「SAKON」で悪くはないのだが)
そうなると、もう一点はかない希望がある。「捨て童子・松平忠輝」は横山光輝氏でマンガ化されている。これはこれで、原作の中で、マンガ化にはふさわしくないであろう部分をうまく省略したりして、大変高度な作品に仕上がっていると思う。 横山光輝氏の簡潔なタッチが、逆に原作のダイナミックな世界を強調しているようにもおもう。しかし、しかしである。原哲夫氏にもなんとかマンガ化してもらえないだろうか!!!「花の慶次」のような、破天荒な忠輝像を、是非見てみたいと思うのは私だけだろうか???