歌う船(1969)創元推理文庫 蜜月旅行(1977)(短編集「塔の中の姫君」)ハヤカワSF(歌う船完結編)旅立つ船(1992)

アン・マキャフリイ(&マーセデス・ラッキー
先天的な疾患により、生命維持が困難な子供が、その資質により「頭脳船(ブレイン・シップ)」として新たな人生を生きることができる。そういう未来世界を舞台にしたマキャフリィのSFシリーズ。当初は1作目だけで完結しているはずだったが、20年以上たって、共作者を使って再開した。ただし、主人公は1作づつ違う。そして、共作者を替えながら、あと2作、共作者が独立してあと3作。これもりっぱなシリーズになった。
パーンもそうだが、この人の作品は、けなげな少女の成長物語であり、コアなSFファンには物足りなさもあるかもしれないが、(でも歌う船あたりは、かなりぶっ飛んだアイデアストーリーがある)普遍的なテーマであるだけに、どれを読んでもそれなりに感動する。「旅立つ船」は、7歳まで成長してから、原因不明の麻痺症により「頭脳船」への道を選ぶ少女の話だが、娘を持つ身にはそこのくだりはちょっと読んでてつらいものがある。しかし、ヒロインのけなげさが、まわりの愛情や協力を生んでゆく様は、きれいごとに見えるかもしれないが、読後感はさわやかだ。