Unza Unza Time(2000)

Emir Kusturica & The No Smoking Orchestra
JOKER3様がご紹介しておられて、気になっていたいたので購入した。旧ユーゴスラビアサラエボのバンドである。その母体は1980年に結成されたが、バンド名やメンバーの変遷を繰り返し今の形に落ち着いたようだ。その要因はサラエボ紛争にも一因があり、メンバーが離れ離れになるという、平和ボケ日本には想像もつかない歴史を経てきたバンド。しかし、また何よりユニークなのは、ヨーロッパ映画界の巨匠の呼び名をほしいままにしている映画監督のエミール・クストリッツァ(これも不勉強で知らなかった(汗))が正式メンバーでありギタリストであるという点である。彼の撮ったこのバンドのドキュメンタリーもあるらしいが、買うには金銭的に苦しいな。
バルカンといえばアレアを思い出す。政治的な発言が多いというのも共通点がある。しかし、音楽的には、早いパッセージをこなす超絶テクには共通点はあるものの、かたやジャズ・ロックかたや彼等がウンザ・ウンザと呼ぶ早い2拍子を基調としたパンク風民族音楽である。使用楽器も、(ロックのスリーピース+)バイオリン、アコーディオン、サックス、チューバ、バラライカをはじめとする民族音楽楽器。ジプシー、トルコ、地中海音楽、ロシア、インドまでまたがる、いかにも文化の坩堝たるバルカンの音楽だ。ほとんどの曲が哀愁漂う短調の曲なのだが、冗談音楽寸前とも思える陽気さは、前述のウンザ・ウンザのリズムとアレンジによる。個人的にはもっと実験色があってもいいと思うが、ロックというよりほとんど民族音楽であるその姿勢は好感がもてる。世界にはいろいろなバンドがあるものだ。日本盤を買ったが、訳詩がないのが残念。「ロミオは本当はバカだったのか」なんて、歌詞の内容が知りたいではないか!
こういう音楽を聴くと、日本でも、邦楽を使った、脳天気なハチャメチャ音楽が、できないものかと思ってしまう。雅楽、声明、民謡、祭囃子、いくらでもロック的、プログレ的、ジャズ的アプローチが可能なはずだ。まじめすぎるのかな。それとも、寺内タケシみたいになっちゃうのか?うーん、私にやれってか(誰も言ってないって)
そうだ、明治のクラシック導入を皮切りに、ジャズ、ロックと続いてきた西洋音楽の導入と熟達の時期は、もうそろそろ終わったのではないか?これからは、それを土台に、もっと自分たちのアイデンテティに関わる音楽を考えていかねばならないのではないか・・・・?