ありえない日本語 (筑摩新書)

秋月高太郎
おたく言語学者による、今時の言葉の分析本。
ありえない、なにげに、やばい、うざい、〜じゃないですか、等々、NHKの「みんなの歌」ではないが、ある年齢層以上には、理解しがたい若者言葉も、実は、若者たちは若者たちなりに彼らの価値観で、気を使っているのだ、と言うことがわかる(しかし、それを中高年に理解してもらおうという気の使い方はできないらしい)
あと、最近は「プリティ」を「プリチー」と表記するようだが、「プリテー」からより外国語っぽいかっこよさを求めて、小さい母音を使用するようになり、しかし、それが当たり前になると、さらに外国語っぽいかっこよさを求めて先祖がえりのように小さい母音が外されていくという考証は、けっこう納得がいく。(ビルヂングなんて、逆にかっこ良いのでは?)
書評ではつめが甘いなど辛口が多いが、それこそ、まったく分けが分からないと嘆く中高年にとっては、かっこうの入門書ではないか。
ちなみに、あとがきで「はみだしっ子」等を読んでいたと書いてあったので、あれと思ったら、作者は1963年生まれで、同世代といえなくも無い。やはり、この時代は男性も少女漫画をけっこう読んでいたのだ。
PS.世代間の感じ方のギャップの例として黒沢清監督「アカルイミライ」が取り上げられていた。工場に勤務する主人公2人と社長の間で、好意、親しみを表す行動、言語が全くかみ合っていないと言うことだが、ここまで極端ではなくても、既に我々の世代(40代)でも、この社長の行動は「うざい」と感じる人が多いのではないか。しかし、だからこそ、相互理解のために、何かはしなければならないのだが・・・・(ちなみにこの映画見てません(汗))