私が私であるために

性同一性障害」をテーマにしたドラマである。
一条ゆかりの作品に「さらばジャニス」(りぼん 1971)という作品がある。私が12才の時にリアルタイムで接した作品であるが、いわゆる両性具有、半陰陽をテーマにした作品である。子供心にもかなり衝撃的だったし、また12才で「りぼん」を読んでいたことからもわかるように「もしかして、自分も本当は女の子なのではないか?」などとけっこう真剣に考えたりもした。子どもならではの未知なる物への憧れもあったろうが、そうであって欲しいとも思っていた節もある。結局、普通の男性であることがだんだん明らかになって来たのだが、自分では、その後知ることになるいわゆる「ニューハーフ」と言われる人たちにあまり偏見を持たない下地になっていると思う。
そんなこともあるし、元々ドラマや映画には感情移入が激しいたちなので、このドラマはこっちがつらくて、途中で見るのをやめようとまで思った。また、子どもを持つ身になると、父親側の気持ちもわかるし、なんともつらい。もちろん、当事者ではないのだから、彼ら(彼女達)のつらさが本当にわかるのか?傍観者としての気楽さがあるのではないか?と言われたら否定は出来ないだろう。
しかし、こういった問題にかぎらず、さまざまな意味でのマイノリティ問題は、結局どれだけ世間に認知され理解されていくかが一番の鍵だと思うので、当事者でない私も、常に真剣に考えていきたいと思う。
ちなみに、中村中さんは、見る前からわかっていたのだが、主役の相沢咲姫楽さんは、途中まで女優さんかと思っていた。他の出演陣も豪華で、正直ここまでの作品に仕上がるとは思ってなかった。保存しておこう。
PS.造園業を営む主人公の父親が、庭作りがうまくいかない時は、木や石が語りかける言葉に耳を傾け、彼らの在りたいようにしてあげる、といった内容を語るシーンがあるが、これは、あらゆることに通ずる、素晴らしい言葉だともう。