モーツァルト 交響曲第39番 変ホ長調

フリッチャイ指揮 ウィーン交響楽団(1959)
モーツァルトの後期3大交響曲の中で、実はこの39番が一番好きだったりする。
フリッチャイモーツァルトは、例えばワルターのような柔らかさやチャーミングさは一切無い。厳しい演奏である。しかし、ベートーヴェンに擬したような厳しさではなく、透徹性がゆえの厳しさか。昔、指揮者無しの古楽器オーケストラが出始めの頃「縦のアインザッツより、横のつながりを重視した、自発性のある音楽」等といった言われ方をしていたが、フリッチャイは、既に指揮者としてそういうことを実現しているように感じる。(だから古楽器オーケストラと印象が近いのか)だから、厳しい演奏なのに、聴いていてわくわくうきうきしてくるのだ。これは大変な事だ。
そう言えば、彼は10代のうちに、ハープ以外のすべてのオーケストラの楽器の演奏を取得したと言う。また、歌もうまく、楽員にフレージングを指示する時は、その流麗なテノールを披露したと言う。そこらへんが関係あるのかもしれない。
これから、フリッチャイを聴いてゆくにあたって、その曲の自分の中のベストと常に一騎打ちが待っていると言っていい。39番はフリッチャイの勝ち。