エクスカリバー 聖剣伝説 完全版(1998)

(原題:Merlin)
この日記でも何度か話題になっている、アーサー王伝説をマーリンを主役に据えて描く「ホールマーク」によるTVドラマ。マーリンを主役にするための脚色があるとはいえ、けっこうちゃんとアーサー王伝説から話とられているし、ケルト色もある。本来夢魔を父に持つマーリンの設定を、同じ夢魔であるクイーン・マブにより生を受け、やがて、マブの元を去るが故に生じるマブとマーリンの対立が、実はアーサー王伝説の裏にあったとして、全体の流れを作っている。最初にようつべ等で見た映像は、ラスト近くのマブとマーリンの対決シーンで、これですっかりこの作品をアーサー王伝説に名を借りたSFX満載のアクション映画だという先入観を持ってしまっていたが、全くそんな事は無く、坦々とおちついた話の運びで、大変好感を持った。湖のエレーンをもともとランスロットの妻とし、グィネビアとの不倫を知るが故の自殺と言う設定は、辻褄が合っていてなるほどと思った。もともとガラハドの母なのだからそのほうが自然だ。
80年代の「サタデー・ナイト・ライブ」をささえたマーティン・ショートが、元はマブの部下、のちにマーリン側につくフリックを演じている。久々に見れてうれしかった。特殊メイク満載だったが、中ほどでチャーミングな素顔を見せてくれた。ラストまでおいしい役だった。ヴォーティガン王役のルトガー・ハウアーはほんとに貫禄がついて、王様役はこの人に限ると言いたい。「ゲド」ではおばさんになっていたイザベラ・ロッセリーニは、まだまだ若々しい。
ラストのハッピーエンドは甘いかもしれないが、ハッピーエンド大好きだから許す。
全体として、エンターテーメントに流されるわけでもなく、人間の誘惑に対する弱さや優しさがゆえに生じる悲劇に深みがあり、非常によく出来た作品だと思う。「エクスカリバー」と共に後世に残るべき作品。
ちなみに、今回吹替えで見たが、マーリン役のサム・ニールが鈴置さんで、どうしてもガンダムのブライト艦長の顔がちらつく(この人亡くなったんだよなあ)恋人役のイザベラ・ロッセリーニがまた土井美加で、ダンバインのマーベルの顔がちらつく。