ドヴォルザーク 交響曲 第9番「新世界より」

ケルテス指揮 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団(1961)
ご存知の方も多いと思うが、岡村喬夫と言うバス歌手がいる。随分前に自伝的な本を読んだのだが、そこで、ケルテスという指揮者が海で大波にさらわれて溺死する現場に居た事が書かれている。我が最愛のソプラノ、ルチア・ポップもその場に居たということで、印象深く覚えている(ポップも早死にしたし)時に1973年、ケルテス享年43歳。この人もフリッチャイ同様早世が惜しまれた人である。で、その当時から興味があったのだが、フリッチャイついでといっては何だが、思い出したので、比較的手に入りやすい「新世界」を入手した。
さて、この演奏はケルテス若干32才のたぶんデビューレコードであろう。若さと才能の勢いで押し切った感がある。独特の旋律の歌わせ方やバランスがあり楽しめた。しかし、フリッチャイ等のあまりにも緻密な演奏を聴いたあとだと、ほんの少しだけオケに乱れがあるのが惜しい。しかし、これはかなり高いレベルにおける話で、通常の演奏としてならたぶん許容範囲ではあろう。なんにせよ早世が惜しまれる。