ブルックナー 交響曲第3番(ノバーク1版)

ティントナー指揮 ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団(1998)
ノバーク1版によるブル3はめったに録音が無く、インバル指揮のみを愛聴していたが、ネットで上記の存在を知り聴いてみる。(版についてはこちらを参照
2つの演奏はテンポがかなり違う。時間にして10分以上の差がある。正直インバルは若干速すぎるのではと思っていた。しかし、ティントナーのゆっくりしたテンポの演奏を聴くと、なぜインバルが速めのテンポを設定したかがよく分かる。
1版の特徴は冗長さにある。それは魅力でもあり欠点でもある。だからゆっくりしたテンポだとどうしてもだれるのである。1版のもう一つの魅力に推進力がある。以前にも書いた展開部冒頭の部分はインバルのテンポでこそ生きる。
第4楽章もティントナーのテンポの方がいいかと思ったが、やはりインバルのテンポでないと生きない部分があった。
しかし、ティントナーの演奏が悪いわけではなく、けれんみの無い美しい演奏で、名演の部類に入る事は事実である。私の中では僅差でインバルを取る。
ちなみに、このティントナーと言う指揮者は超遅咲きで、初めて世に出たのがブルックナーの全集録音(1997〜1998)で80歳である。そしてその役目を終えたかのように1999年病を苦に自殺・・・・こんな人もいるのだ。