ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱付」(映像)

朝比奈隆 指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団(2000)
私は第9で涙を流したことが2度だけある。それがフルトヴェングラーバイロイト盤であり、もうひとつがアナログ時代の朝比奈盤だった。フルトヴェングラーはラストの天上へ上っていくかのような楽員もおいつかないアッチェレランドに、朝比奈さんは、とこまでも大地を踏みしめつつ終わるラストに。
第1、3楽章は悠然としたテンポの中にしっかり刻まれる弦が心地よい。第3楽章は一転速いテンポだが、楽譜の指示に近づけた結果であろう。終わった瞬間に第4楽章が始まったのにはびっくり。こちらも速めのテンポでぐいぐい押す。トルコ行進曲からフガートにかけてはテンポを落とす。アナログ時代は、落としすぎて間延びした感があったが、今回はちょうどいいテンポ。そしてコーダにいたって再びテンポは上がる。ラストはやはり大地を踏みしめるラストであった。