13号独房の問題(1907)

ジャック・フットレル
創元推理文庫 世界短編傑作集1
「思考機械」(オーガスタス・S・F・X)ヴァン・ドゥーゼンは子供の頃読んだ推理クイズ本(参照)に必ずでてきた名探偵だったが、読んだ事は無いと思っていた。しかし、この作品を読むとなんか記憶にあるので、どこかで子供向け推理アンソロジーかなんかで読んだのかもしれない。友人と思考能力だけで死刑囚を収監する独房から脱獄できるかの賭けをしたドゥーゼン教授の話。
突っ込もうと思えば突っ込めるのだけれど、この時代は未だ、後のクイーンが提唱したような「読者の前に謎解きに必要なすべての要素を提示しなければならない」なんていうミステリーの規範が出来る前なので、(っていうかそんな規範も勝手な話だが)そこらへんは割り引いて考えると、やはり抜群に面白い事は確か。ホームズものも、同様の問題点を指摘されるが、要は面白いからこそミステリーの古典としてのこっているのだからいいのである。
この第1巻は他にアンナ・カサリン・グリーンの「医師とその妻と時計(1895)」が、映画かなんかにしたいほどドラマチックだった。