ワーグナー トリスタンとイゾルデ 前奏曲と愛の死 ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲

クナッパーツブッシュ指揮 北ドイツ放送交響楽団(1963)
例の大全集に久々に着手。クナのワーグナー管弦楽曲は、1962年のミュン・ヘンフィルが超名演であるのだが、この1963年の演奏もすごい。放送用のモノラルなのが実におしい。1962年よりもさらにゆっくりで、瞬間瞬間にこめられたニュアンスと凄みがただ事ではない。思えばあのブル8も1963年だし、1964年からは演奏に年齢による衰えが目立つそうだから、彼の最後の円熟の極地の演奏なのだろう。音質の問題さえなければ、1962年の上をいくだろう。ワーグナーの私の嫌いな部分がまったく気にならない。いつもはうるさく感じる「愛の死」のソプラノもメゾ(クリスタ・ルードヴィヒ)のせいか気にならない。こういう演奏が残っていて本当によかった。同日の演奏があと3曲あるので楽しみ。