フルトヴェングラー指揮,ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1954)
オペラのLDを焼くぞ!シリーズ!
そもそも昔、私がなぜLDプレイヤーを買ったかというと、このソフトが当時ビデオ発売されていず、LDでしか見られなかったからであった。同年のザルツブルク音楽祭を元に、初めに演奏を録音し、音にあわせて、歌劇場で実際に演じたものを映画にしている。現在のような録画技術が無い頃のたぶん最上の記録方法だったろう。実際のザルツブルク音楽祭ライブ演奏も発売されている。メンバーはほぼ同じだが、ドンナ・エルヴィーラが映画はデラ・カーザ、CDはシュワルツコップ。
正直言ってフルトヴェングラーの「ドン・ジョヴァンニ」はモーツァルトの音楽の愉悦を100%伝えてくれるものではないかもしれない。しかし、フルトヴェングラーのモーツァルトの音楽に対するデモーニッシュな抉りこみは、クラシックファン、オペラファンは一度は体験すべき驚異の演奏である。歌手陣も当時の名歌手ぞろい。シエピの「ドン・ジョヴァンニ」は前にも書いたが、悪を悪とも思わない卑劣な人間なのに、貴族的なおおらかさでそれを納得させてしまう魅力をもった唯一の歌手だったのではないか。あと私が好きなのはテノールのアントン・デルモータ、正直大時代的なのだろうが、私にはたまらん。