あだこ(収録:おごそかな渇き)

山本周五郎
新潮社の山本周五郎の文庫は、年代別とがジャンル別というくくりではなく、どれをとっても山本周五郎の書いた全てのジャンルが網羅されるように編集されている。再び読み直しているのだが、年のせいかあまり重たいものは読みたくないので、自然と「こっけいもの」を中心として、若い男女をテーマにした作品や軽いものを読むので、文庫1冊あたり1,2編しか読まないことになる。しかし、「こっけいもの」とはいえ、例えば「椿三十郎」の原作「日日平安」や、1999年に映画化された「雨あがる」も実は「こっけいもの」に分類されている事からわかるとおり、山本周五郎の「こっけいもの」はその語感から感じられるようなものではなく、一筋縄ではいかない。
この「あだこ」は「こっけいもの」ではないが、生きる希望を失って、餓死するのも厭わなくなった若侍を、押しかけ下女の「あだこ」の誠意が救うという(解説によると)メルヘン的な作品。メルヘン的というが、設定をちょっと替えれは(外国にも現在にも移せる)少女漫画にもできるぞ。そういうのを解説者はメルヘン的といっているのか?っていうか似た話を少女漫画で読んだような気も・・・
そうか、実は今選んで読み返しているのは、私の中の「少女漫画」的くくりに入る作品ばかりでなのか。納得。ロマンチスト(他称)の面目躍如だな(自爆)

ちなみにドラマ化しやすい内容のせいで、何回かドラマ化されているようだ。1972年の吉永小百合 林与一 バージョンはちょっと見てみたいな。