時の扉の向こうには

モンゴメリ
「ニュー・モンゴメリ・ブックス」からの1冊。これも続編がある。
こちらは、長い時の流れを間にはさむ物語が集められていて、「アンの友達」や「アンをめぐる人々」にも同一テーマの作品が多いので印象が近い。しかし、「アンの友達」や「アンをめぐる人々」はモンゴメリにより編纂されただけあって、出来のほうはやはり「アンの友達」「アンをめぐる人々」のほうが上である。「ニュー・モンゴメリ・ブックス」の短編集は、雑誌には掲載されたが出版されなかった作品を、モンゴメリの死後編集したものだから、モンゴメリ自身が1冊にまとめる気がなかった作品たちなので、どうしてもプロットの重複等がおこる。しかし、モンゴメリを読む至福には変わりない。あいかわらずのハッピーエンド満載だからだ。
「あがない」という作品は、ある若い女性が、育ての母である年老いた従姉妹を、自分の不注意(薬の取り違え)から殺してしまったと思い込み、それを自分の心に秘めて生きてゆく話だが、最初「お!モンゴメリには珍しい倒叙ミステリーか?」と思ったが、やはりいつものモンゴメリ節に落ち着いていた。(笑)しかしそれでいいのだ。