ブルックナー 交響曲第8番 ハース版

シューリヒト指揮 シュトゥットガルト放送交響楽団(1954)
シューリヒトの発掘音源シリーズである。
1963年のウィーン・フィル盤は、テンポの速い遅いのコントラストが激しすぎるのだが、こちらは基本的に同じ解釈だが、コントラストが激しすぎるということが無い。63年盤では遅すぎる部分が遅すぎず、速すぎる部分が速すぎないので、個人的にはこっちのほうが気に入った。だが、管のミスが目立つ。また1954年だからステレオは望めない。こっちの解釈で1963年にウィーン・フィルを指揮したら、それこそクナに匹敵する名盤になったのに。
びっくりしたのが、明記はしていないが63年盤はノヴァーク版であり、こちらも明記していないがあきらかにハース版であること。調べて見たらノヴァーク版の第2稿の出版は1955年なので、1954に原典版を使うならハース版しかなかったというわけだ。どちらかといえばハース版が好きな私にとっては、シューリヒトのブル8のハース版が聴けるとは、望外の幸せである。
2008/12/04
最近ネット上でいろいろ調べてみたら、ノバーク版出版後のシューリヒトは、ハース版を元にしながらも、ノバーク版を参照して、1版からの引用のカット等をおこなっているとのことだった。63年盤が純粋なノバーク版というわけではなかったということで、訂正させていただく。