おばちゃまはハネムーン(1988)

ドロシー・ギルマン
ミセス・ポリファックス・シリーズ第8作
前作で心身ともに疲労したおばちゃま(拷問まで受けた)の気分転換のためのタイ旅行(なので、厳密にはハネムーンではない、原題にも無い)なのに、またもCIAは、そのついでと言わんばかりに仕事をおしつける(笑)そしてその仕事をしようとしたとたんに、なぜか夫のほうが誘拐されてしまうのだった。タイトルに反してまたもヘビーな展開。
ネット上で「今回はオカルト色が無くて一安心」という意見を見てため息がでた。一般的にはやはり抵抗があるんだろうな。
でも、作中に出てくるタイの山岳民族「アカ族」の話は充分スピリチュアルでインディアンの信仰を思わせる。
また、座禅中のお坊さんのそばで瞑想をして、そのお坊さんの「愛、誠、平和」と同化した、というシーンもある。
この作者のいいところは、今まで出てきたバルカンのジプシー、中近東、アフリカ、そしてこの東南アジア等、異文化に対して畏敬の念を持って記述しているところだ。