キャラバン 砂漠の愛(1992)

ドロシー・ギルマン
ミセス・ポリファックス・シリーズ「〜アラブ・スパイ」(1990)と「〜シチリア・スパイ」(1993)の間に書かれた、ギルマンのノン・シリーズである。
空中ブランコ乗りの父を早くに亡くし、祖母と母に育てられた根っからのカーニバルっ子のカレッサは、祖母にはスリの名手と折り紙をつけられているが、今は見世物小屋の首無し女に身をやつした母の悲願により、セレブへの道を歩むため良家の子女の通う寄宿舎学校へ入れられる。そして、そこから彼女の波乱万丈の人生の幕が切って落とされる。
砂漠のサバイバルあり、オカルトあり、運命の出会いあり、どんでん返しあり、お馴染みのギルマン・アイテムのてんこ盛りである。
面白いことは面白いし、読後感も悪くないのだが、何を訴えようとしてこれを書いたのかが個人的には判然としない。
ギルマン作となると勝手にプラスアルファを求めてしまうのは、たぶん悪い癖なのだろう。