ピーナッツバター殺人事件(1993)

コリン・ホルト・ソーヤー
「海の上のカムデン騒動記」シリーズの第4作。
ネット上で書いていた人がいたが、第1作から被害者がカムデンの住人、カムデンの新入り、カムデンの敷地内、そして今回のカムデンの住人の婚約者がやや離れた場所で、という流れで、徐々に作品の舞台が拡がってゆくのは、コージー・ミステリーの常道だそうだ。ちなみに知らなかったが、コージー・ミステリーとは「女性読者向けの」「ユーモラスな」「狭い範囲が舞台の」「ライトな」ミステリーとのこと。
本格ミステリー黄金時代は、まったく疑わしくない人間が実は犯人だったという意外性が売りだったものだが、それも浸透してくると、最初に疑わしいがゆえに、読者が逆に犯人と思わない人間が実は犯人だったという、二重の意外性を持ったが現れてくる。このシリーズもそのパターンのようだ。また元放送作家らしい内容はあいかわらずドラマティックで楽しめる。