ブルックナー 交響曲第4番「ロマンティック」改訂版

マタチッチ指揮 フィルハーモニア管弦楽団(1955)
マタチッチの「ロマンティック」が残っていたとは知らなかった。それもかのクナの「ロマンティック」と同年で、しかも同じく改訂版でありモノであるのも一緒。(ただし、お得意のマタチッチ改訂もあるようだ)
56歳の時の録音だが、後年の巨匠たる演奏と比べてもなんら遜色は無い。百凡の指揮者とは一段違う。
第1楽章は若干アッチェレランドがきついが、第2楽章の意味深さは絶品だ。ガット弦であろうチェロの生々しさと哀愁の同居がたまらん。
さて、クナと比べてみると、クナは使用する楽譜が、改訂版であれ何であれ、全く気にしていないと思われる。ゆえに、「改訂版なのに素晴らしい」と言われる。マタチッチの場合、改訂版の特徴を抉り出し、ある意味かなりデフォルメされた演奏といえるが、その分面白い事は面白い。しかし、それでもこれはブルックナー以外の何物でもない、といえるということは、やはりマタチッチの非凡さなのだろう。
同じくこれまで知らなかったブル3もあるようだが、現在は入手しづらい状況だ。