天の光はすべて星(1953)

フレドリック・ブラウン
先日ちらっと書いた二十数年ぶりの再販(某アニメのおかげらしいが)となったこの作品であるが、タイトルからブラウンにしてはロマンティックな作品なのかと漠然と思っていたら、全く違った。主人公の宇宙に対する執念の物語で、読みながら、これってSFなんだろうか・・・・とずっと違和感がつきまとう。もしかしたら、手の込んだ(しかも感動的な)恋愛小説なのか?等と思ったりもした。
そう言えば、主人公と上院議員(女性)が老いらくの恋に落ちることについて「ブラウンよおまえほどの作家が・・・」と嘆いている人がいた。いかにもブラウンのファンみたいな言い方をしているが、彼の短編はそういう恋にあふれているんだが・・・本当はブラウンを読んだ事がある人なのか?はなはだ疑問。っていうか、入手しやすいという理由だけで、ハヤカワの「火星人ゴーホーム」とか「発狂した宇宙」しか読んでないのか?うーん、個人的にはこの2作は今一なんだがなあ。
横道にそれたが、読み終わってみると、ラストのためにそれまでのすべてがあったということがよくわかり、違和感もブラウンの計算のうちだったのだと、改めて名手ぶりに感嘆する。うん、これもまごうことなきSFである(いや、やはり恋愛小説かな(笑))
ちなみにその1
一部人脈ではおなじみの(笑)マサイ族出身の数学者(しかも仏教徒)が登場する!
ちなみにその2
東西冷戦後、共産圏が自己崩壊した後という設定の近未来が舞台だが、1953年当時のアメリカ人の希望的観測であろうが、あたっている・・・