半七捕物帳 第2巻(春陽文庫版)

岡本綺堂
岡本綺堂は歌舞伎の劇作家でもあり、怪奇小説家でもあった。
半七捕物帳も題材が歌舞伎に関連している話もあり個人的にはうれしい。
また、怪談仕立ての話もあるが、通常怪談仕立てでも、ミステリーならば謎はすべて論理的に解決されるのだが、半七捕物帳の場合、解ききれない本当のオカルト部分が残ったりするのも、なんか逆に江戸情緒が感じられて個人的にはありだ。
以下ネタばれだが、半七版モルグ街的な作品もある。誰もいないのに半鐘が鳴らされる事件が続くが、実は猿芝居小屋から逃げ出した猿が八百屋お七を得意としていたので・・・・という、なんともユーモラスな落ち。その猿が遠島申し付けられ、結果的に野生に返ったというのも微笑ましい。