杉浦日向子
単行本時代所有していたはずだが、いつの間にか手元に無くなっていた。いつもの事ながら懐かしくなって購入。
北斎と娘のお栄、善次郎（のちの英泉）を中心とした話であるが、歌川派の国直、国芳も登場する。
設定はほぼ史実に沿っているが、出戻りのはずのお栄が、行かず後家的な初心な娘になっている。
前半は、飄々とした江戸風俗話が多いが、徐々に江戸怪異譚が増えてくる。
江戸時代の人々の価値観は、当然現代とは違う。現代の我々は、描く方にしても、読むほうにしても、現代人のフィルターを通す他は無い。しかし、この人の描く江戸は、そういうフィルターが無いのではないかと思うほど自然である。確か、前世で江戸に住んでいた記憶をもっていたはずなので、そこらへんなのかな。
早死にも、今生の使命を早々と果たしたせいかな、等と思わせる。
そういえば、先日の「おんな北斎」では、元の旦那の荒俣宏が北斎を演じていたが、これも因縁だな。
今回はお安い文庫のユーズドで購入した。杉浦さんの漫画は、いくつか手元にあるのだが、いつか思い切って大きな絵の全集本を揃えたいところだ。
