手塚治虫の自作パロディ

手塚治虫の「ブラック・ジャック」は、けっこうリアル・タイムの作品だったせいか、逆に単行本で揃えたりしたりせずに、最近は、コンビニ本の編集版でたまに買って、懐かしがったりする程度なのだが。
今回買ったものに「座頭医師」という作品があり、盲目の針師「琵琶丸」が登場するのだが、ブラック・ジャックとの邂逅シーンが、どうも見たことがあると思って、調べたら「どろろ」で、百鬼丸どろろに出会った後、自分の過去を語る中で登場する、盲目の琵琶法師との邂逅シーンと、ほぼ同じ構図であった。
ネット上では、キャラとして同一視されているが、このシーンが自作パロディと指摘している人はいたかな?針師の名前が「琵琶丸」であり、大きなかばんをわざと背負わせて、もともとの「どろろ」のキャラが背負っている「琵琶」になぞらえているところなぞ、偶然ではなく確信犯であることは明確だ。
しかし、もともと手塚治虫は、いわゆるスター・システムという、まあ、彼ぐらいにしか許されないであろう作品構築システムを使用しているので(アセチレン・ランプ、ヒゲオヤジ、下田警部、ロック・ホーム、ハム・エッグ、等々多数)こういうのはありがちとはいえ、シーン自体を似せるのは珍しいのではないか。いや、これは非難しているのではなくて、単純にそれを発見して嬉しかっただけなのだが。
ちなみにスター・システム、自作キャラの使いまわしは、初期作品以外ではブラック・ジャックが宝庫であろう。バンパイヤのトッペイ登場とか、素直に喜んでしまうのは、歳のせいか(笑)