カルロス・クライバー指揮 バイロイト祝祭管弦楽団(1974)
イゾルデ:カタリナ・リゲンツァ
先日「前奏曲」だけを先に聴いたが「愛の死」も先に聴いてしまう。
リゲンツァのイゾルデは(ヴァルナイの全曲盤を聴く前だけど)あくまで個人的な意見だが、今まで聴いたイゾルデの中で一番かもしれない。なんでこの人を知らなかったのか(例のベームの「エレクトラ」では見ていたはずだが)
このクライバーの「愛の死」は、イゾルデが安らぎと幸福のうちに昇天していくようで、悲壮感のかけらもない、安らぎに満ちた、ある意味新鮮な「愛の死」である。
最後の音を延ばしに延ばして、観客は終わったと気付かないのか拍手がまばらである。
ネット情報によると、クライバーのトリスタンは最初うけが悪く、3年目の1976年にやっと受け入れられたという。何の世界でも、それまでの常識をやぶる人間は、なかなか世間が追い着いて来ないのだな。
さて、そのカタリナ(カタリーナ)・リゲンツァは録音や映像が少ない。
「トリスタン〜」以外で主役級の録音は
ヨッフムの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」ぐらいしかない。
映像は、例の「エレクトラ」の他に
1974年のオペラ映画で「さまよえるオランダ人」(サヴァリッシュ指揮)
1983年「魔弾の射手」(ラッセル・デイヴィス指揮)
があるようだが、日本盤の発売はないようだ。
1937年生れというからヤノヴィッツと同い年である。ビルギット・ニルソンの後継者と目されながらのこの(正式な)録音と映像の少なさは、いったいどうしたことだろう。カルロス・クライバーとの6種の「トリスタンとイゾルデ」はすべて発掘音源である。(クライバーでなければお蔵入りであったろう)
昔はラジオでバイロイト公演のこの人のブリュンヒルデが聴けたらしい。うらやましい話だ。
しかし、これだけ発掘音源ブームなのだから、彼女の音源も発売されてもいいと思うんだが。ヴァルナイも発掘音源ブームで再評価されたようだし。
ちなみにバイロイトの出演は以下のとおり。
1971〜1973 ブリュンヒルデ(シュタイン指揮)
1974〜1977 イゾルデ(クライバー指揮 1977のみシュタイン指揮)
1987 イゾルデ(バレンボイム指揮)
エルザ:ローエングリン(シュナイダー指揮)
1987年の「トリスタン〜」はトリスタンがペーター・ホフマン!で、音声だけがようつべにアップされている。全曲盤を出せ!
カラヤンの「神々の黄昏」(1969)に出ている?もしかしてブリュンヒルデ?と思いきや、第3のノルンだった。ブリュンヒルデに間に合わなかったか!!
ちなみに同い年のヤノヴィッツはグートルーネを歌っている。「ワルキューレは」ヤノヴィッツのためだけに買えたが、こっちは悩むところだ。
久々に「エレクトラ」見てみようかな・・・・
ちなみに載せた写真は、リゲンツァを意識するようになって、なんか見たことあると思って、また古い本を調べたら、1995年発行の「別冊宝島EX オペラの本」のカラー口絵に、1987年ベルリン・ドイツ・オペラ日本公演の「ニーベルングの指環」(いわゆる「トンネル・リング演出」の、いまや語り草となっている、リゲンツァのブリュンヒルデが載っていたので貼ったもの。横にいるジークフリートはルネ・コロ。この時の映像とか残ってないのかなあ。
追記、レオニー・リザネクがウィーン国立歌劇場に出演した際のオムニバスCDが発売されているようだが、その中に「ローエングリン」でリザネクがオルトルート、リゲンツァがエルザをやっているものがあるようだ。ならば全曲盤を出してほしい!
1986年の「さまよえるオランダ人」
こちらはバイロイトの「トリスタン〜」の記録用(副指揮者の練習用だとか)の映像でクライバーしか映っていない。
1分過ぎからリゲンツァの声が聴こえるがテープがひどいことになっている(笑)
その後一瞬イヴォンヌ・ミントンの声が聴こえ、その後は二重唱。
クライバーの指揮ぶりはやっぱり凄いな。
ドミンゴとのローエングリン(ドミンゴのローエングリンは絶対にキャラじゃない)