スポンティーニ「ヴェスタの巫女」

ヴォットー指揮、ミラノ・スカラ座管弦楽団(1954)
マリア・カラス
フランコ・コレッリ
エベ・スティニャーニ
ニコラ・ロッシ=レメーニ
ニコラ・ザッカーリア

スポンティーニはケルビーニの14歳下、彼をもって古典派的イタリア・オペラが終焉し、ロッシーニによるベルカント・オペラの時代が始まる、と解釈していいのかな。
これも、カラスによる上演で復活したオペラである。
古代ローマの火の神ヴェスタに仕える、世俗から隔絶されなければならない巫女の、愛と苦悩の物語。ただしハッピーエンド。
元々は、フランス語のグランド・オペラ形式だが(バレエ部分あり)カラス盤はイタリア語。
こちらも古典派としての明るさは残るが、ケルビーニの「メデア」に迫るくらいドラマティックである。
ケルビーニやこのスポンティーニのドラマティックな手法は、本国イタリアでは受け継がれずに、ドイツやフランスへの影響のほうが強く、イタリアでドラマティックなオペラが現れる(復活する)のは、ヴェルディやヴェリズモまで待たなくてはならなかった、というのも面白い現象だ。明確な理由があるんだろうか。国民性かな?いや、時代(イタリアの)の要求だな。
マリア・カラス以下、歌手陣も豪華で間然とするところが無い。カラスの唯一盤なので、音がいい盤が他にないのが惜しいな。

知らなかったコンサート映像があった!