なぜフランスのグランド・オペラにバレエ場面が必要か・

ちなみに、なぜフランスのグランド・オペラにバレエ場面が必要か・・・単純にフランスは総合芸術を目指したのかな、等と昔は思っていたのだが・・・・
江戸時代初期、女性による歌舞伎が禁止され、次に若い男性が女性を演じる若衆歌舞伎があらわれたがやはり禁止された。それは当時は「役者」=「売春婦」だったからだ。
洋の東西を問わず、というかフランスと言うお国柄なのか、オペラにおけるバレエの場面は、貴族やお金持ちが、踊り子の品定めをする重要な時間だったのだ。もっとも「売春婦」まではいかずに、お金持ちは「パトロン」というものになったのだが、意味合いは一緒である。
ワーグナーがフランスから「タンホイザー」上演の依頼があった時、条件にバレエ場面の挿入があった。ワーグナーは難色を示したが(ストーリー上不要だったのだろう)妥協して第1幕の冒頭に挿入した。しかし、フランスでは通常第2幕に挿入される。それを目当てに貴族やお金持ちがその時間だけオペラにやってくるわけだ。それがいきなり第1幕冒頭だったから、せっかく踊り子目当てに来た連中は、とっくにバレエ場面が終わってしまっていた、と言う事になり、えらく不評だったらしい。