ヴェルディ「イ・ロンバルディ」(十字軍のロンバルディア人)

ガヴァッツェーニ指揮 ローマ歌劇場管弦楽団(1969)
レナータ・スコット:ジゼルダ
ルチアーノ・パヴァロッティ:オロンテ
ルッジェーロ・ライモンディ:パガーノ
ウンベルト・グリッリ:アルヴィノ
アンナ・ディ・スタジオ:ヴィクリンダ
これからしばらくは、ヴェルディの初期を聴いてゆくつもり。
出世作「ナブッコ」に続くこの作品、タイトルからして、無条件なキリスト教礼賛では無いかと思って、個人的には聴く気にならなかったのだが、そういうわけでもない、という情報を知って興味を持った。
女をめぐる兄弟相克、弟は誤って父を殺して逃亡。
兄は無事に結婚するが、娘はイスラムに誘拐され、シリアのアンティオキアへ
兄(娘にとっては父)が十字軍でやってくる。今はアンティオキア王子と愛し合っている娘は、十字軍の残虐さをののしる。
王子と娘の逃避行、しかし王子は瀕死の重傷。そこへ罪を悔いた弟が隠者としてあらわれ、王子をキリスト教に改宗させて死をみとる。
隠者も戦闘によって瀕死になるも、兄弟と娘が怨讐を越えて再開し、大団円。
以前、ヴェルディの連作期は聴きやすさやメロディの素晴らしさは保証付き、と書いたことがあるが(こちら)こちらもそのとおり。もしかしたらしばらくは毎回同じ感想になるかも。
前作で評判のよかった「行け、我が想いよ〜」を思わせる合唱があったりして、明らかに前作の影響下にあるが、途中でオペラには珍しく長めのヴァイオリン・ソロがあるなど、工夫も見られるので油断はならない。
上記の豪華キャストで廉価だったので購入したが、1969年にしては若干音の悪いモノラル・ライブ録音、そりゃあ廉価だわな。
この若い時期のパヴァロッティとスコットは無敵だな。ディ・スタジオというメゾはちょっと気になっていたのだが、思ったとおりの実力者だった。