ボーイト「メフィストフェーレ」

セラフィン指揮 ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団(1958)
チェーザレ・シエピ
マリオ・デル=モナコ
レナータ・テバルディ
ピエロ・デ=パルマ

以前ちらっと書いた(こちら)ボーイトの「メフィストフェーレ」は、ワーグナーの影響が強いという事で是非全曲盤を聴きたかったが、シエピが歌うセラフィン盤をユーズドで入手できた。他のメンツも豪華。
序曲がいきなりワーグナーで、思わずにやついてしまう。これは「影響」というよりも「ワーグナー様式」でイタリア・オペラを書きました、という感じ。死による救済もワーグナーだ。結果、両方の良さががっぷり四つに組んだ形で、かなり良い!今まで本当はこんな風なのを聴きたかったような気がするぞ(笑)
以前カラスが歌っているのを紹介したアリア(再びこちら)は、やはりいいな。ポップスやロックの先取りのようなコード進行だ。


ボーイトと言う人は、例えば「オテッロ」の台本をヴェルディに持ち込み、さらに共同で改訂するとか、「最後は喜劇で締めくくりましょう」と、作曲を渋るヴェルディを説得して「ファルスタッフ」を実現させるとか、後期のヴェルディ、そしてイタリア・オペラに対しての功績は並々ならぬものがある。詩人であり、作曲家であり、時代を見据える力、そして、それを他に及ぼして実現へ導く力を持つ、こういう才能も世には必要なのだ。