ワーグナー「神々の黄昏」第1幕以降

クナッパーツブッシュ指揮 バイロイト祝祭管弦楽団(1958)
序幕ではかなり激しい部分もあったが、それ以降は管弦楽の部分等、最晩年を思わせる深みと渋みで満ちている。そういえば「枯淡の境地」と表現していたのをどこかで見た覚えがあるが、ここらへんから最晩年の境地への1歩を踏み始めたという事か。
クナはこの後も1958年 1959年にミュンヘンで「指環」全曲を振っているが、1960年代はもう振っていない。1961年の大手術の影響もあったろうが、体力的に無理だったのだろう。しかし「神々の黄昏」だけは最晩年にも振って、録音を残してもらいたかった気がする。そこにどんな音楽が展開していたか・・・・
歴史に IF は無いけれど最晩年の境地を知るものには、その境地での「神々の黄昏」には興味が尽きない。
しかし、と言っては何だが(この後再聴して確認するつもりだが)1951年の「神々の黄昏」も神がかり的に凄かった記憶がある。この年の「パルジファル」も凄かった。
終戦後のバイロイト再開の年であり(フルトヴェングラーの「バイロイトの第9」の年である!)クナのバイロイト初登場の年であるから、オケも観客も、そしてクナ自身も、ある種特殊な状況だったのかもしれない。
さて、その後はやっとヴァルナイ、ヨッフムの「トリスタンとイゾルデ」そしてクレスパン、クナの「パルジファル」(1960)であるが、きっとまた、聴き比べが始まってしまうのだろうな・・・・(汗)
しかし、その後にヴァルナイの「サロメ」「エレクトラ」そしてレズニク参加の「ドン・カルロス」で、オペラモードはひと段落する予定ではある。