人類補完機構シリーズ

コードウェイナー・スミス
人類補完機構シリーズの唯一の長編である「ノーストリリア」を除いて、翻訳されているすべての短編を読み終えたのだが、このシリーズの面白さをどう表現していいかわからない。
未来史であり、神話であり、おとぎ話であり、さらに遠い将来に伝説となる出来事の種明かしである。センス・オブ・ワンダーのアイデアの豊富さは眩暈が起きるほど。
世界観は病的だが、不思議と不快感が無いのは、基本的に人間(というか生物)に対する希望、信頼があるからかもしれない。
そういえば、かのアーシュラ・K・ル・グウィンが、「アルファ・ラルファ大通り」を読んで「なんだ、こうやればいいのか」と思ったというから、いわば彼女の作家開眼のきっかけになったシリーズといえるし、それは明らかに萩尾望都までつながっている。