マリオン・ジマー・ブラッドリー
「ダーコーヴァ年代記」を、さて何から読もうと思った。時系列順に読む手もあったが、ここは執筆順ということで、初出1962年、ただし執筆はその十数年前から始まっていたというこの作品から読んでみた。
かなり複雑な超能力SFで、舞台を含めてかなり読みごたえがある。
他の女性SF作家、例えば「パーンの竜騎士」のアン・マキャフリイは1926年「ゲド戦記」「ハイニッシュ・ユニバース」のアーシュラ・K・ル=グウィンは、1929年、そしてこのブラッドリーは1930年と、ほぼ同世代ながら、実は彼女が一番若いのだが、「パーンの竜騎士」の元になった中編が1967年、「ハイニッシュ・ユニバース」の第1作「辺境の惑星」が1966年と、作家としてはブラッドリーのほうが先輩格にあたる。先達としての役割は重要だし、他の二人への影響も大きいと思うが、のちのフェミニズム的展開は、この1962年の作品には望むべくもないのはしょうがないといえばしょうがない。