惑星救出計画

マリオン・ジマー・ブラッドリー
ある意味こちらが第1作である。というのは、この作品が単行本(とは当時言わないけれど)化される際、当時のアメリカのSF本はダブルブック形式といって、前後から別の作品が読めるという2作で1冊の出版形式があって、その際にカップリングする同傾向の作品はないかと編集者に聞かれて、ブラッドリーが手元にあった「オルドーンの剣」を提出。しかしメインの「惑星救出計画」より「オルドーンの剣」のほうが評判になってしまった、という経緯があったらしい。
「オルドーンの剣」との矛盾点もあるけれども、ブラッドリーがシリーズを意識したのはこの10年後ぐらいなので、大目に見なければいけないだろう。
一見、地球人とダーコーヴァ人が使命を帯びてダーコーヴァの現住亜人類の地へ旅立つ、という異文化間の軋轢プラス冒険譚でという王道パターンのように見えるが、実は「抑圧された別人格に使命をゆだねる」という「二重人格の統一」というプロットの方が本テーマだったりする。
どうも、このシリーズは、ダーコーヴァという共通の世界観で、各主人公の成長と覚醒を描くシリーズのような気がしてきたぞ。
その観点から改めて「オルドーンの剣」を思い出すと、ああ、なるほどなあ、と納得することしきり。