シベリウス「クレルヴォ交響曲」


シベリウス クレルヴォ交響曲
ヴァンスカ指揮 ラハティ交響楽団(2000)
リリ・パーシキヴィ:Ms
ライモ・ラウッカ:Br
ベルグルンド指揮 ボーンマス交響楽団(1970)
ライリ・コスティア:S
ウスコ・ヴィータネン:Br
シベリウス聴き始めの頃に聴いた「クレルヴォ交響曲」であるが、番号付きの交響曲に集中しているうちに、なんとなく聴きそびれていたのだが、先日「カレワラ」とシベリウスの事を書いた時にとりあげたので、久々に聴く。
ベルグルンドはこの曲の世界初録音、第1楽章はベルグルンド盤の方が遅いが、他は(5楽章まである)ヴァンスカ盤の方が遅く、特に第2楽章はヴァンスカ盤19分、ベルグルンド盤14分で5分も差がある。全体でヴァンスカ盤80分、ベルグルンド盤71分である。他のシベリウスの交響曲は長くても45分~50分なので、ブルックナー並みのボリュームを持った例外的な曲だという事がわかる。
さて、ベルグルンド盤は、27歳のシベリウスの若々しさそのままのダイナミック、かつ分かりやすい演奏で、初めて聴く録音としても第1に推すべきであろう。
しかしである。
ヴァンスカ盤については以前こんなことを書いた。
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2012/08/29
ヴァンスカの音づくりは、一部では軟弱の声もある。確かに「ここで激しい切り込みでもあれば」等と思う事もあるが、これを軟弱ととるか、透明感あふれた柔らかい音づくりととるかは、聴き手の好みの範疇であろう。

この意見に変わりはないのだが、透明感あふれた宗教音楽のような荘厳さはヴァンスカ盤ならではであり、個人的には、こっちの世界を取りたい。