「展覧会の絵」2種

ムソルグスキー展覧会の絵」(ラヴェル編)
フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団(1957)
ドホナーニ指揮 クリーヴランド管弦楽団(1988)
予想がつく方もおられると思うが、先日のドホナーニの禿山の一夜(原典版)のCDのメインはこのラヴェル編曲の「展覧会の絵」である。
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2013/09/25
小川典子も聴いたし、
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2013/10/12
リヴィング・ステレオにも入っているし、この際だから聴いてみる(ちなみにカラヤン盤とショルティ盤、ストコフスキー編曲の自演盤が既に手元にある)
以前にも書いたかもしれないが、私はこのラヴェル編曲の管弦楽版「展覧会の絵」があまり好きではない。
最初に聴いた「展覧会の絵」がELPであり、次が富田勲、そしてピアノ版ときて管弦楽版の順で聴いていったために、富田版の「プロムナード」の人声スキャットによる
トゥン、トゥン、トゥン、トゥトゥトゥン、トゥトゥトゥン、トゥン、トゥン、トゥン、トゥン
が、あまりにも印象的だったために、管弦楽版のトランペットによる「プロムナード」が、大変もたくさく聞こえた、ということが大きい。その直後に弦楽器に引き継がれるところもいやだ。
そもそも「プロムナード」とは「そぞろ歩き」である。「足音」なのである。
だからピアノならまだわかるが、トランペットでパーパーやられると、足を引きずっているとしか聞こえないのだ。だから個人的には弦楽器によるピチカートで始めるべきだと思う。
また、この曲自体がクラシック・オーケストラのもつ「リズム感」の限界を超えている部分があるために、そういうところがまたもたくさくなってしまう。
なのでラヴェル編曲の管弦楽版「展覧会の絵」が好きではないのだが、もしかしたらこれが原因でラヴェルの聴かず嫌いにつながっていたのかもしれないな。
さて、今回聴いた演奏は、ライナーはいつも通りの推進力抜群の演奏だが、その分上記のような「リズムに無理がでるパターン」ドホナーニは緻密ながらもしっとりした演奏で、その分リズムに無理が出ていない気がする。