A・E・ヴァン・ヴォクト「非Aの傀儡 」

A・E・ヴァン・ヴォクト「非Aの傀儡 」(1956)
ヴァン・ヴォクトを執筆(出版)順に読んでゆく予定だが、この作品は「非Aの世界」の直接的続編なので、先に読む。
ちなみに「武器製造業者」にも「イシャーの武器店」という続編があるが、時系列的に「武器製造業者」よりだいぶ前の話であり、内容も独立しているということで、こちらは執筆順に読む。
さて、読者を五里霧中にするのがこの人の手法だと以前書いたが、続編ということは読者は前作の世界観を承知だという事で、さすがにその手法はいったんお休みかと思いきや、主人公はいきなり、まった別人の精神系統に閉じとめられるという展開、それも、今まで読者に一切知らされていなかった世界観の別人(爆)
この人は、結局あの手この手で読者を五里霧中にする天才というか、そこばかりこだわっているのかもしれないな(笑)
それでも、敵と味方がはっきりしているし、主人公が何をするべきかも明らかなので「非Aの世界」よりは読みやすいかも知れない。「非Aの世界」を含めた種々の伏線が明らかになる結末は圧巻。