ジョン・ディクスン・カー「連続殺人事件」「皇帝のかぎ煙草入れ」

ジョン・ディクスン・カー「連続殺人事件」
これは、コメディとして、そしてロマンスとして、超一級の面白さをもつ。冒頭が典型的な「ロマコメ」の導入部であるのがなんとも微笑ましい。
ディクスン・カーカーター・ディクスン)の作品は、けっこうロマコメの要素がある作品も多いので、この作品も含めて誰か女性漫画家が漫画化しないかなあ。
あ、書き忘れたが、ミステリーとしてもなかなかのものだし、舞台がスコットランドというのも興味深い。

 

ジョン・ディクスン・カー「皇帝のかぎ煙草入れ」
再読である。そもそもこの作品を読んだのがきっかけで、ディクスン・カーカーター・ディクスン)を読もうと思い、初期の6作品でいったん中断してしまったのだった。
そして、今回ディクスン・カーカーター・ディクスン)を再度読み始めてからは、探偵役が必ずギデオン・フェル博士かヘンリー・メリヴェール卿だったのだが、この作品はいわゆるノン・シリーズなので、この作品だけの探偵役が登場する。
そういう点からも、実はディクスン・カーカーター・ディクスン)作品の中でも、異色の作品であることが、ここまでディクスン・カーカーター・ディクスン)作品を読んできた今だからこそよくわかる。ああ!いちいち、ディクスン・カーカーター・ディクスン)って併記するのがめんどくさい(笑)
なので、最初に読んだ時はかなり感心したのだが、今読むとけっこう読後感が良くない。
ネット情報によると、よりシリアスな作品を求められて、このノン・シリーズを書いたのではないか、という意見があるが、そのシリアスさで冤罪物なので、個人的に冤罪物が苦手だ、ということもあるが、ディクスン・カーカーター・ディクスン)は、シリアスが似合わないのかもしれない。
しかしである。矛盾しているかもしれないが、このトリック(?)は一読の価値があることは確か。