北村薫「覆面作家」シリーズ

北村薫

覆面作家は二人いる」(1991)
覆面作家の愛の歌」(1995)
覆面作家の夢の家」(1997)

「円紫さんと私」シリーズに続く「覆面作家」シリーズである。「円紫さんと私」同様、高野文子のカバーや挿画がうれしい。
深窓の令嬢が探偵、というパターンはあるかもしれないが、これに驚天動地の人格設定が重なる(笑)読んでない人のために、あえて書かないが。そういった設定もあって、こちらはかなりコメディタッチに一見見えるのだが、やはりそこは北村薫で、そこここに深い何かを常に潜ませている。
「円紫さんと私」シリーズは個人的には好みだが、敷居の高さを感じる人もいるかもしれない。そういった意味では、こちらのほうがとっつきはいいだろう。
そして、恋の成就が一種の病である上記の「驚天動地の人格設定」を解決するという落ちで、このシリーズはめでたく完結する。
そう言えば「円紫さんと私」の「私」は19歳、この探偵も19歳、「冬のオペラ」の「わたし」もそのぐらいではなかったか。もしかして、これが北村薫のパターンか?