カイルベルトの「神々のたそがれ」

ワーグナー「神々のたそがれ」
ヨゼフ・カイルベルト指揮  バイロイト祝祭管弦楽団(1955)
ブリュンヒルデ:アストリッド・ヴァルナイ
ヴォルフガング・ヴィントガッセン:ジークフリート
ヘルマン・ウーデ:グンター
マリア・フォン=イロスヴァイ:ヴァルトラウテ
グスタフ・ナイトリンガー:アルベリヒ
ヨーゼフ・グラインドル:ハーゲン
グレ・ブロウェンスティーン:グートルーネ
ユッタ・ヴル:ピウスヴォークリンデ
エリーザベト・シャーテル:ヴェルグンデ
マリア・グラーフ:フロースヒルデ
マリア・フォン=イロスヴァイ:第1のノルン
ゲオルギーネ・フォン・ミリンコヴィッツ:第2のノルン
ミナ・ボロティン:第3のノルン
ここにきて、今までの音の生々しさが若干後退したように聴こえる。実に残念。
「夜明け」「二重唱」「ラインの旅」では、カイルベルトが変なアゴーギクを使うので、ヴァイントガッセンがリズムを外しまくっているのはいただけない。
とは言え、以前書いたように「「指環」というオペラを聞く分には必要かつ充分」という感想は変わらない。
このオペラでは、第2幕第3場直前に、透明感あふれる非常に美しい間奏曲的な部分があるのだが、それを知ったのは、実はヤング盤とこのカイルベルト盤を聴いてからである。念のためにクナッパーツブッシュの1957年盤の同じ部分を聴いてみたが、透明感のかけらもない。クナッパーツブッシュはこのオペラの全体を大きな「うねり」として表現しているので、この部分だけを透明感を持って演奏するなど、はなから頭に無いのだ。それはそれで、凄い事には違いない。
しかし、クナッパーツブッシュばかり聴いていては気づかなかったことを気づかせてくれたのはありがたかった。
さて、これでとりあえず長かった今回の「指環」サイクルは終り。次はクナの「マイスタージンガー」サイクルだな。