クナッパーツブッシュの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」その4(と、まとめ)

ワーグナーニュルンベルクのマイスタージンガー
クナッパーツブッシュ指揮 バイロイト祝祭管弦楽団(1960)
ヨゼフ・グラインドル:ハンス・ザックス
ヴォルフガング・ヴィントガッセン:ワルター
カール・シュミットワルターベックメッサー
テオ・アダムポーグナー
ゲルハルト・シュトルツェ:ダヴィッド
エリーザベト・グリュンマー:エヴァ
さて、とうとうクナのマイスタージンガーもこれで最後である。
以前、クナの「パルジファル」1960年盤の時に、その演奏の変遷について書いた事があったが(例えば
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2012/04/03

やはりクナの1960年代の演奏には特別な思いがあるし期待も高い。
前奏曲は今までよりは若干遅いものの、やはり速めで、クナの管弦楽曲としての独立した演奏と、本来のオペラの前奏曲としての演奏に明らかにスタンスの違いがあるという事がこれで確定した。
この録音は「遅い」と言う評判だったが、本編に入っても極端に遅いという感じはしない。落ち着きがある、もしくは悠然とした音の運び、といったとことろか。しかし、聴き進むとこのテンポが正解のような気がしてくるのは、やはりクナの演奏の息遣いが自然だからか。
グラインドルは「指環」のアルベリヒの印象が強いが、やはり悪役声かな(笑)でも深みは随一。
ヴィントガッセン、グリュンマー、シュトルツェ、アダムと今まで豪華だったクナ盤の中でもさらに豪華な気がする。

さて、今までクナッパーツブッシュの「マイスタージンガー」4種を聴いてきたわけだが、1952年盤、1955年盤、1960年盤の3種はどれも名盤で、どれを採るかは好みの問題のような気がする。個人的には僅差でこの1960年盤を採りたいと思う。

2016/0/23 意見が変わりました。

hakuasin.hatenablog.com