マタチッチの「エフゲニ・オネーギン」

チャイコフスキー 歌劇「エフゲニ・オネーギン」(独語)
マタチッチ指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1961)
エフゲニー・オネーギン:デートリッヒ・F=ディースカウ
レンスキー:アントン・デルモータ
タティアナ:セーナ・ユリナッチ
オリガ:クヴェジック
グレーミン公爵:コネツニ
当初「エフゲニ・オネーギン」はハイキン盤で一段落つけるつもりであったが、ここにきてもっと聴きたくなってしまった。なので、独語盤ということで躊躇していたデルモータ参加のクロブカール盤、マタチッチ盤、ヴァイクルがオネーギンのショルティ盤を注文。クロブカール盤、ショルティ盤は海外発送なので聴けるのは先になる。
このマタチッチ盤はモノラルのライブ音源で、わずかに音は悪い。
聴く前はマタチッチという個性的な指揮者がこのオペラをどう料理するのか興味があったが、聴いてみるとやはり個性的だった。
チャイコフスキーの繊細で美しいメロディを、音楽をドラマティックに盛り上げるための「パーツ」として使い切っている。なので、チャイコスキーらしさはかなり影を潜めているし、その点からかネット上の評判もあまりよろしくない。しかし。マタチッチ以外には為しようがないこの音作りは貴重ではあると思う。
デルモータの多少時代掛かった歌唱も、この音作りにマッチしているし、他の歌手も同様。何よりも、観客が大熱狂しているだから、当時のウィーンにおいては「あり」の演奏だったのだろう。