シュヒターの「エロイカ」

ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
ヴィルヘルム・シュヒター指揮 NHK交響楽団(1960)ロンドン、ロイヤル・フェスティバル・ホール
というわけで、シュヒターの「エロイカ」のみのためだけに「NHK交響楽団世界一周演奏旅行 1960」8CDセットを買ってしまう(汗)
速めのテンポの推進力抜群の演奏で、以前「ローエングリン」で書いた「緻密かつ抒情的」という言葉がここにもあてはまる。速めのテンポのエロイカのお手本のような演奏である。
惜しむらくは(発売目的の録音ではないからだろうが)モノラル、かつ発掘音源に毛の生えたような音質で、オリジナル・マスターの傷もあり、隔靴掻痒の感がある。
録音が少ない指揮者なのだから、なんとかいい音で残しておいてほしかった。
BOXセットの解説に、岩城宏之の著書からの引用で、この演奏旅行の裏話がのっているが、当初はすべてシュヒターが指揮をするはずだったが、ヨーロッパ各地の主催者から、せっかく初めて日本のオーケストラがくるのだから、指揮者は超一流、もしくは日本の指揮者にせよ、との注文があったそうだ。そして(直接引用すると)「はっきりいって、ドイツの二流だった、シュヒターとの組み合わせは、拒否された」(この演奏はロンドンだから、ロンドンの主催者はそういう文句を付けなかったのだろう)
うーん、やっぱり二流扱いだったのだなあ・・・・・