井伊直政の話と「おんな城主直虎」

個人的には井伊直政という人は、既に(って言い方もおかしいが)徳川四天王になってからの事しか知らなかった。徳川四天王っていうぐらいだから、井伊家は徳川家(松平家)譜代の家臣なんだと漠然と思っていたし疑いもしなかった。
しかし、今回の「おんな城主直虎」によって、井伊家も松平家同様に今川家の圧迫に苦しんだ国人領主であり、井伊直政が徳川家の家臣になったころは外様であったことを知った。
その井伊直政徳川四天王にまで上り詰めるのだから、よほどの働きをしたのだけれど、そこにはやはり家康の最初の妻の築山殿がもともとは井伊家の流れであること、つまり長男信康の女系の先祖と井伊直政の男系の先祖がともに(今回、前田吟が演じている)井伊直平にたどり着く、という点も大きかった気がする。実際、家康は小姓として直政をかわいがっていたようである。
話は変わるが、三浦春馬演じる井伊直親高橋一生演じる小野政次、そして主人公の柴崎コウ演じる直虎には、この後避けることのできない「史実」が待っている。しかし、その「史実」を、三人が幼馴染であり、男二人が直虎を思っている、という三角関係というフィクションを絡ませて展開させていこうというアイデア、手腕はけだし卓見、通常歴史ものに恋愛を絡ませるのは嫌いなのだが、今回は素晴らしいと思った。