先日
「個人的な好みから言えば、フォーレの室内楽の中で一番気にいった」
と書いた、フォーレのピアノ五重奏曲第1番であるが
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2017/08/04/045513
フォーレのピアノ五重奏曲第2番のウィキペディアに載っているフォーレ研究家ネクトゥーの言葉
「第1番で気にかかったおもしろみのない単調な繰り返しの部分は一変しており(後略)」
が、暗にその第1番をディスっていた。
これは「変化こそが善である」というロマン派的固定観念に他ならない。
例えば、ブルックナーの交響曲も、ロマン派の概念を超えた音楽なのに、弟子のレーヴェが改訂版としてカットや楽器変更を行った。それは同じようなフレーズが続いた場合、音色を変化させなければならない、という上記の「変化こそが善である」というロマン派的固定観念に従ったものだった。それによってブルックナーの真の魅力が大幅に減じている。
これ以降、サティやシベリウスや、クラシックの内部からミニマル的要素が生まれてきて、20世紀に花開くわけだが、フォーレの音楽もある種超時代的側面を持っているので、こういうロマン派的価値基準による批評はあまり信用してはいけないと思う。