モーツァルトの「レクイエム」について 再考

今回新たに3種類のモーツァルトの「レクイエム」を聴いたのだが、ついでに手元にある録音もまた聴き直したりした。
で、結論から言うと、個人的にはモーツァルトの「レクイエム」はピリオド演奏が好みだな、という事。
通常オケだと、重たくなったり、劇的だったり、ロマン派的演奏の要素がどうしても入ってきて、それがいいという人もいる(というかほとんど)だろうが、個人的には、清澄感や透徹感のある演奏から、抑えてもにじみ出てくるロマン性、といった感じが好きなのだ。
なので、本命がコープマン盤、対抗でTimmerman盤、抑えでヘレヴェッヘ盤ということになろうか。
ヘレヴェッヘ盤は、名盤だと思うし、充分感動的なのだが、現時点では、なぜか個人的には物足りない。いろいろ理由を考えてみたのだが、響きが柔らかすぎるのか、混然一体感が強すぎるのか、対位法的にくっきりと対旋律との対比が前面に出てきていない点かもしれない。そういえば、ヘレヴェッヘはこういった音作りをする人だった。フォーレのレクイエムでもヘレヴェッヘ盤がどこか物足りなく思ったのは、こういう点だったのかもしれない。ヘレヴェッヘを最初に聴いた時は、合唱の美しさに衝撃を受けたものだったが、ずっと聴いてくると、また捉え方が変わってくるものだなあ。