クリュイタンスのグノー「ファウスト」ステレオ録音

グノー「ファウスト」ステレオ録音
クリュイタンス指揮 パリ・オペラ座管弦楽団&合唱団(1958)
ファウスト/ニコライ・ゲッダ
マルグリート/ビクトリア・デ・ロス・アンヘル
メフィストフェレス/ボリス・クリストフ
ヴァランティン/エルネスト・ブラン
ジーベル/リリアン・バートン
マルト/リタ・ゴール
ヴァグネル/ヴィクター・オートラン

久々のクリュイタンス・コレクションである。以前も書いたが、オペラ・サイクルの時にグノーが落ちていたのでこれは助かる。
久々のクリュイタンス・コレクションにはグノーの「ファウスト」は、1953年のモノラルの録音とこの1958年のステレオ録音の2種類収録されている。
今までの流れだと、録音順に聴くのだが、2つの録音は、同オケ、主役3人が共通、かつ5年しか間が空いてない。また、いつも引き合いに出す「オペラ名作名演全集」では推薦盤として挙がっていることもあり、今回はこちらから聴く。たぶん、モノラルの出来がいい、かつその後ステレオ録音が可能になったため、同じ水準の演奏をステレオで残したいというレコード会社の意向があったのではないか。
さて、グノーはヴェルディの5歳下、オッフェンバックの1歳上、同国人としては、ベルリオーズの15歳下、ビゼーの20歳上になる。ばりばりのロマン派世代、かつフランスということで、グランドオペラ的な華美な世界を勝手に想像していたが違った。
いい意味で非常に上品で清冽で心安まる音楽である。
「オペラ名作名演全集」によると、オペラの世界では必ずしも成功せず(っていうのもびっくりだが)宗教音楽に閉じこもって傑作を残した、とある(そうなると宗教音楽も聴きたくなる)なので、そういうところがオペラにも表われているのかもしれない。これは今まで聴かないで損していた気分。