図書館で見つけてタイトルだけで即借りてしまった。ケムール人については以前幼少期のトラウマの話等で触れたが
https://hakuasin.hatenablog.com/entry/20041016/p1
https://hakuasin.hatenablog.com/entry/20110205/p1
思い入れのある宇宙人であるが、まさかケムール人そして特撮界隈でこそ知らぬ人のいない(我が県の誇りでもある)成田亨を題材にした推理小説があったとは・・・・
作者である谺健二(こだまけんじ)を寡聞にして知らなかったが1960年生まれという事はほぼ同世代である。デビューが鮎川哲也賞受賞の「未明の悪夢」(1997)という事で遅咲きであるが、本来は本名の児玉健二でアニメーターをやっているという事情からのようだ。
読んでみて、ここまでかっつりとケムール人や成田亨の他の作品、そして彼自身をテーマとして(というかガジェットとして)扱っているとは思わなかった。
私はもう新本格派以降の日本の推理小説界の潮流とかはまったくわからなくなっているのだが、っていうか他の芸術ジャンル同様、情報量が昔とは格段に違うので潮流とかいうものもまったく意味がなくなっている気もするが、異様な舞台設定、異様な登場人物、異様な連続自殺事件、そして異様な探偵、二転三転のどんでん返し、新本格派の流れではあるのだろうが、黒死館殺人事件やポーあたりを遠い祖先に持つのだろう。
しかし、私はなんちゃって特撮ファンなのだと思い知らされたのが、成田亨の他の彫刻作品や絵画、そして訴訟問題等のその後の人生等全く知らなかったという事。なので今回いろいろと勉強になった。谺健二についてはネット情報もあまり無いので断言はできないが、ミステリーの題材として成田亨を扱ったのではなく、成田亨のファンであり理解者であるがゆえにこの作品を書いたのだ、と信じたい。実はこの作品が最新作でその後9年間新作が無い。もしかしたらこの作品を書いて満足してしまったたので作家活動は終了なのか?とさえ思える力作である。
上記の通りアニメーターをしながらの執筆のせいか作品数は多くないので他の作品も読みたいところだが例えは「星の牢獄」(2004)なぞはユーズドで3万円以上の値がついているので、まあ気長にいくかな。